高齢の親を詐欺から守る|「変な電話が来た」の最初の10分と、親と話す台本

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「「気をつけて」では、防げない。」離れて暮らす高齢の親を電話詐欺から守る記事のアイキャッチ。無料の電話対策5つと親と話す台本を紹介。

2026年10月7日 公開

「親のところに、市役所を名乗る変な電話があったらしい」——家族からそう聞いた瞬間の、血の気が引く感じ。
いままさにその状況でこのページを開いた人は、目次を飛ばして最初の章だけ読んでください。

やることを、最初の10分ぶんだけ先に書いています。

「うちの親はしっかりしてるから大丈夫」。
そう思っている人にこそ、この先を読んでほしいです。

詐欺師が狙うのは、判断力の弱い人ではありません。
「自分の家は大丈夫」と思っている家です。

僕も、そう思っていた側でした😅

この記事を読み終えたら、①その時の最初の10分 ②いま主流の「警察官を名乗る詐欺」の脚本 ③親の電話を「詐欺が通らない電話」に変える無料の設定 ④照れずに親と話せる台本——の4つが手に入ります😊 かかるお金は、ほぼゼロです。

急ぐ理由は、数字です。
2025年、特殊詐欺(=電話などで顔を見せずにだます詐欺の総称)の被害は1,423億円。

前年からほぼ倍増し、1日あたり約3.9億円が消えています(=警察庁の確定統計)。
そして被害額の6割は65歳以上——つまり、僕らの親の世代です😳


📖 この記事でわかること

  • 「変な電話が来た」ときの最初の10分(=まだ渡していない/渡してしまった、の両方)
  • 被害額の7割を占めるニセ警察詐欺の脚本(=1件平均 約922万円)
  • 親の電話を守る無料の対策5つ(=留守電・国際電話ストップ・警察庁推奨アプリなど)
  • 電話1本と帰省10分でできる親と話す台本
  • 兄・先輩・友人など「知っている人」から来る話の見分け方(=見るのは人ではなく、相手の儲け方)

目次

🚨 いま「親に変な電話が来た」なら——最初の10分

急いでいる人のために、結論だけ先に置きます。状況ごとに、上から順にやってください。

親に変な電話が来たときの最初の10分の対処フロー図。まだお金を渡していない場合は一度切って代表番号にかけ直し迷ったら#9110、親がATMや銀行に向かっているならためらわず110、もう渡してしまった場合は銀行に口座凍結を依頼し110または#9110と188へ連絡し証拠を保存する。

まだお金を渡していないなら

  • 親に電話して「その電話は詐欺の典型。
    もう出なくていい」
    と伝える(=相手に折り返させない)
  • 本物か確かめたいときは、相手が言った番号ではなく、代表番号を自分で調べてかけ直す(=1分で確かめられます)
  • 迷ったら警察相談専用電話#9110へ。
    「詐欺かもしれない電話が来ている」は、立派な相談理由です。

親がATMや銀行に向かっているなら

ためらわず110です。
「詐欺に遭っている最中かもしれない」で通報していいですし、間に合えば警察がATMで止めてくれます。

親のスマホに電話をかけ続けるより、110のほうが速い。
ここは覚えておいてください。


もう渡してしまっていたら(=時間との勝負)

  1. 振込先の銀行に電話して口座凍結を依頼する(=振り込め詐欺救済法で、残高が残っていれば一部が戻る可能性があります)
  2. 警察へ=110 または #9110
  3. 188(=消費者ホットライン。
    最寄りの消費生活センターにつながります)
  4. 証拠を保存=通話履歴・振込明細・相手の口座番号・メモ

そしてもうひとつ。
このとき絶対にやってはいけないのが、親を責めることです。

責められた親は、次から隠すようになります。
隠された詐欺は、誰にも止められません😔

「よく話してくれたね」から始めてください。

むちお

頭では分かってても、その場になったら「なんで払っちゃったの!」って言っちゃいそうだな…。

ちえこ

だから先に決めておくの。「叱らない」は優しさじゃなくて、次の被害を防ぐ作戦なんだよ。


🤔 「うちの親は大丈夫」が通用しなくなった理由

なぜ今、この記事なのか。2025年に、数字が一気に変わったからです。


数字で見る現実(=2025年・警察庁)

項目2025年(確定値)前の年から
特殊詐欺の件数27,832件+32%
被害額1,423.1億円ほぼ倍増(+98%)
65歳以上の被害件数の51%・被害額の59%—
入口が「電話」の割合約8割(=オレオレ型・還付金型は9割超)—

さらに、警察が把握した「予兆電話」(=家族構成や資産を探る、詐欺の下見の電話)は年間33万件。
1日900件のペースで、どこかの家に下見の電話がかかっています(出典:警察庁・令和7年の認知・検挙状況(確定値))💦

入口の8割が電話ということは、裏を返せばこうです。
親の電話をふさげば、被害の大半は入口で止まる。

この記事の後半は、ぜんぶこの一点に向かっていきます。

📈 2026年上半期の速報(=1〜6月・警察庁の暫定値)

  • 特殊詐欺の被害は半年で1,816.2億円(=1日あたり10億円・前年の同じ半年から+51.7%)。
    ※2026年からSNS型の投資詐欺・ロマンス詐欺も特殊詐欺に含めて数える方式に変わったので、上の2025年の表とは単純に比べられません。
  • ニセ警察詐欺=4,466件・507.9億円。
    既遂1件あたり約1,164万円(前年の同じ半年から+318万円)。
    入口は98%が電話
  • ニセ警察詐欺で件数がいちばん多いのは70代(869件・前年の同じ半年から+51%)。
    次いで60代、30代の順
  • 65歳以上の被害額=全体の46%
  • 予兆電話(=下見の電話)=半年で119,778件(1か月あたり約2万件)

親の世代の被害額が、1件で1,000万円を超える規模になっています。数字は年末に確定値へ置き換えます💧
出典:警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」

むちお

1日900件も下見って、もう「うちには来ない」ってレベルじゃないよね…。

ちえこ

そう、「来るか来ないか」じゃなくて「いつ来るか」。だから先に電話の入口をふさぐの。


📞 いまの主役「ニセ警察詐欺」の脚本

2025年から統計が始まったばかりの手口が、いきなり被害額全体の7割(=1,005億円)を占めました(件数では4割)。
警察官を名乗る「ニセ警察詐欺」です。


脚本はこう進む(=4ステップ)

  1. 非通知や「+」から始まる番号から電話。
    「◯◯県警の者です。
    あなたの口座が犯罪に使われています」
  2. 「あなたにも容疑がかかっています。
    逮捕状が出ています」と不安に突き落とす
  3. ビデオ通話に誘導し、警察手帳や逮捕状の画像を見せる(=全部偽物です)
  4. 「捜査に協力すれば逮捕されません。
    資産の確認のため、指定の口座へ送金を」「このことは家族にも話さないで」
ニセ警察詐欺の電話が進む4ステップの流れ図。県警を名乗り口座が犯罪に使われたと告げ、逮捕状が出ていると脅し、ビデオ通話で偽の警察手帳を見せ、資産確認のための送金と口止めを求める。

この手口の被害は1件平均 約922万円。
それ以外の特殊詐欺(=約257万円)の3倍以上で、老後資金が口座ごと抜かれる規模です💧

そして意外な事実がひとつ。
件数がいちばん多いのは、高齢者ではなく30代です(=20〜30代で約4,000件)。

「親に教える」と同時に、働き盛りの僕ら自身が食らっている手口でもあります。
被害額が大きいのは60〜70代——つまり、家族全員の話です。

✅ 覚えるのはこれだけ(=本物の警察との見分け方)

  • 本物の警察は、電話でお金・キャッシュカード・暗証番号を要求しない(=100%ありません)
  • 本物の警察は、LINEやビデオ通話で「捜査」をしない
  • 「誰にも言うな」と言われたら、その瞬間に詐欺確定(=本物の捜査は、家族に秘密を強要しません)
むちお

「逮捕状が出てます」なんて言われたら、僕でも頭真っ白になるかも…。

ちえこ

それが狙いなの。でも「誰にも言うな=詐欺確定」を知ってれば、頭が真っ白でもこの一言だけで切れるよ。


💸 古典も現役——電話と玄関から来る4つの手口

主役が変わっても、古典の脚本は今日もどこかで使われています。
電話3つと、玄関から来るものを1つ。
「見抜くひと言」とセットで覚えてください🤔


還付金詐欺——「お金が戻ります」でATMへ誘う

「市役所の保険課です。
医療費の払い戻しが2万円ほどあります。

本日が期限なので、お近くのATMで手続きを」——2025年も3,179件・約62億円の被害があり、被害者の約8割が高齢者です。

見抜くひと言はこれだけです。
役所や年金事務所が、ATMでお金を返すことは100%ない。

この1行を親が知っているかどうかが、分かれ目になります😤


オレオレ詐欺——「携帯変えた」から始まる

息子や孫を名乗って「携帯を変えた」「会社のお金を使い込んだ」「カバンをなくした」。
昔からある手口ですが、いまも現役です。

対策は合言葉よりシンプルで、「一度切って、もとの番号にかけ直す」の習慣。
これで偽物は全員消えます😌


サポート詐欺——パソコンが突然「ウイルス感染」

パソコンやスマホの画面に、偽の警告と大音量の警報を出して「サポート窓口」に電話させ、コンビニで電子マネーを買わせる手口です(=2025年で1,048件・約15億円)。

正体はただの広告画面なので、閉じれば終わりです。
慌てて画面の番号に電話した時点で、脚本に乗ってしまいます。

「画面の警告から電話しない」を、親のパソコンの前で一度話しておいてください💦

僕も、かなり昔に一度この画面に出くわしたことがあります。知っていれば「閉じるだけ」ですが、知らなければ電話をかけていたと思います😳


訪問販売・点検商法——「屋根が傷んでますよ」

玄関から来る手口も現役です。
「近所で工事をしていまして、お宅の屋根が傷んでいるのが見えました。

無料で点検しますよ」——このパターンで、屋根や外壁の点検商法(=点検を口実に高額な工事を契約させる商法)の相談が増えています。
国民生活センターに寄せられる訪問販売のリフォーム工事の相談は年1万件を超える水準で、屋根工事の点検商法では契約した人の8割超が60歳以上です。

実際に報告されている例が、ぞっとします。
庭にいた70代の男性に「屋根が壊れてますよ。

見てあげます。
なんともなかったらお金もいりません」と声をかけ、勝手に屋根に上がって「ここ、壊れてますよ!」。

断ると態度が急変して、「もう敷いたブルーシート代1万円だけでも払え」と迫ってきた——という手口です。
上らせた時点で、壊されていても分かりません😳

そして、いま一番増えているのは「分電盤」(=家のブレーカーが並んでいる箱)の点検商法です。
国民生活センターへの相談は、2024年度の1,290件から2025年度は6,545件へ。1年で約5倍になり、相談した人の8割超が70歳以上です(国民生活センター・2026年9月16日)。

入口は電話です。
「電力会社の者ですが、分電盤の点検に伺います」。
家に上がると「分電盤の耐用年数は法律で15年と決まっている。漏電したら大変」と不安をあおり、その場で交換工事を契約させます。
約14万円で契約した70代の女性の例も出ています。市役所の依頼を名乗る業者もいます。

見分け方は1つで足ります。
本物の法定点検では、点検のあとに交換工事の契約を持ちかけることはありません(=国民生活センターの助言)。
点検のあとで「交換しましょう」と言われたら、その時点で断ってOKです。「法律で決まっている」は、契約を急がせるための言い方です。

🏠 親に伝えておく3つ

  • 屋根や屋内に上げない(=わざと壊して「ほら傷んでます」と写真を見せる例もあります)
  • その場でハンコを押さない。
    「息子に相談してから」で必ず切る
  • 契約してしまっても、訪問販売なら書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができる(=理由はいりません。
    いまはメールでの通知も認められています。
    消費者庁・特定商取引法ガイド)

そして「もう払ってしまった」場合も、あきらめずに188へ。
クーリング・オフの期間が過ぎていても、勧誘の仕方に問題があれば取り消せることがあります。


手口入口のセリフ見抜くひと言
ニセ警察「口座が犯罪に使われています」誰にも言うな=詐欺確定
還付金「払い戻しがあります。ATMへ」役所はATMで返さない(100%)
オレオレ「携帯変えた」「お金が要る」一度切って、もとの番号へ
サポート画面に「ウイルス感染!」画面の番号に電話しない
訪問販売・点検商法「屋根が傷んでますよ。無料点検します」「分電盤の点検に伺います」上げない・その場で契約しない(8日間はクーリング・オフ可)

🛡️ 親の電話を「詐欺が通らない電話」に変える

会話の前に、まず道具で入口をふさぎます。ここに並べるのは、ぜんぶ無料〜ほぼ無料のものだけです。

親の電話を詐欺から守る無料の設定5つ。常時留守電は0円で今日2分、国際電話ストップは0円で申込10分、ナンバーディスプレイは70歳以上なら0円で電話1本、自治体補助の対策電話機は数千円から0円、警察庁の推奨アプリは0円で帰省時に5分。

①固定電話を「常時留守電」にする(今日・0円)

詐欺師は、声を録音されるのを嫌います。
留守電にしておいて、知っている人なら折り返す——この運用に変えるだけで、詐欺電話の多くは何も言わずに切れます。

「電話に出ない」は失礼ではなく、いまや警察が勧める標準の防御です😤

そして、この対策にはもう一つの効き目があります。

📞 留守電は「詐欺ではない電話」にも効きます

親の固定電話にかかってくる困った電話は、詐欺だけではありません。
合法だけれど強引な営業電話も、同じ入口から入ってきます。

いま増えているのが光回線(=家のインターネット)の電話勧誘です。全国の消費生活センターに寄せられた相談は、2025年度で8,491件。前の年の6,862件から一気に増えました。

そして相談した人の約3人に1人(32.6%)が70歳以上です。親の世代が、はっきり狙われています😳

手口は詐欺とよく似ています。

  • いま契約している会社を名乗らずに、その会社のふりをする(「契約中の回線が終了するので手続きを」)。
  • 安くなると言って、覚えのないオプションを付ける。
  • 料金の説明も書面もないまま、電話だけで契約になっている。

じつは電気通信事業法で、勧誘するときはサービス名・提供する会社の名前・電話をかけている代理店の名前と連絡先・料金を説明する義務があります。
つまり「どちらの会社ですか」と聞くのは、まったく失礼ではありません。答えられない相手のほうがおかしいのです。

とはいえ、その場で見抜くのは親には酷です。
だから留守電にしておけば、詐欺も強引な営業も、まとめて入口で止まります😌

出典:国民生活センター「光回線サービスの電話勧誘トラブルが増えています!」(令和8年7月1日)


②国際電話をまるごと止める(申込10分・0円)

いまの詐欺電話の多くは、「+1」「+44」など国際電話番号からかかってきます。
海外と電話しない家なら、固定電話の国際電話の発信・着信を無料で丸ごと止められます。

申込は国際電話不取扱受付センターから。
Web・電話・郵送で手続きできます。


③ナンバーディスプレイをつける(70歳以上は0円)

誰からの電話か表示される機能です。
70歳以上の契約者(または70歳以上と同居する契約者)なら、月額も工事費も無料になっています(=NTT東日本の特殊詐欺対策ページ。

NTT西日本エリアにも同じ制度があります)。
迷惑電話を自動でブロックする専用アダプタの無償キャンペーンも、2027年3月末まで実施中です。


④自治体の補助で「対策電話機」を買う

迷惑電話防止機能つきの電話機(=「この通話は録音されます」と警告してから録音する機種)には、多くの市区町村が購入補助を出しています。
「◯◯市 迷惑電話 補助」で検索してみてください。

数千円〜全額の補助が見つかることがあります😌


⑤親のスマホには「警察庁推奨アプリ」を入れる(無料)

2026年3月から、警察庁が詐欺対策アプリを「推奨」として認定する制度を始めました。
警察が捜査で把握した「詐欺に使われた電話番号」のデータをもとに、かかってきた時点で警告したり、自動で着信をブロックしてくれるアプリです。

認定されているのは、この2つ(=どちらも無料・iPhone/Android両対応)。
詳細と正しいダウンロード先は、警察庁の推奨アプリのページで確認できます。

  • 詐欺対策 by NTTタウンページ(=要注意番号を自動判別して警告・遮断。
    相手の会社名も表示されます)
  • 詐欺バスター Lite(=トレンドマイクロ提供。
    日本の詐欺手口に特化したデータベースで警告・自動ブロック)

「どっちを入れればいいの?」と迷うなら、1つ目のNTTタウンページ版でいいと思います。
理由は2つ。

ひとつは、開発に加わっているのが大手キャリアの迷惑電話対策の中身を作ってきた専業の会社で、国内の詐欺番号のデータに強いこと。
もうひとつは、タウンページの約500万件の事業者データで「どこの会社からの電話か」名前が出ることです。

この「名前が出る」が、地味に効きます。
怪しい番号は遮断、まともな会社は名前が表示される。

つまり親が「知らない番号は出なくていい」を実行しやすくなるんです。
約束②を守る助けになります😊

ひとつ注意点があります。
国際電話や非通知の「まるごと遮断」ができるのはAndroid版だけです(=iPhoneは警告表示が中心)。

親がiPhoneなら、上の②の固定電話対策とセットで考えてください。

アプリを探すときは、親のスマホを預かって、あなたが入れてあげるのが確実です。
「アプリを入れて」と電話で頼むと、似た名前の偽アプリを入れてしまうリスクがあります。


対策費用かかる時間
①常時留守電0円今日・2分
②国際電話ストップ0円申込10分
③ナンバーディスプレイ70歳以上は0円電話1本
④対策電話機(自治体補助)数千円〜0円買い替え時
⑤警察庁推奨アプリ0円帰省時に5分

うちの場合:実家は、固定電話そのものを無くしました。留守電も国際電話ストップも要らない、いちばん乱暴でいちばん確実なやり方です。
母はスマホだけ。「知らない番号は取らない」「何かあったら僕に連絡」の2つで回しています。警察庁のアプリは、これから入れます😅


💬 親と話す台本

道具で8割ふさいだら、残りの2割は会話です。ただ、「詐欺に気をつけてね」だけでは、正直ほとんど効きません。


切り出しは「世間話」から(=説教にしない)

親にも、親のプライドがあります。
「騙されないでよ」と言われた瞬間、「馬鹿にするな」で話は終わりです。

だから入口は説教ではなく、ニュースの共有にします。

  • ❌「騙されないでよ」(=親の自尊心を傷つけて、心の扉が閉まる)
  • ✅「警察官を名乗る詐欺が流行ってるんだって。
    1件900万円とか消えるらしいよ。
    怖いよね
    」(=ニュースの世間話がいちばん自然な入口)
  • ✅ もう一押しは「俺も気をつけろって言われたんだよね」(=「親を守る話」ではなく「家族全員の話」にする。
    実際、2025年は30代の件数がいちばん多かった手口です)

交わす約束は、3つだけ

📞 親との約束3つ

  1. 「お金の話の電話が来たら、一度切って僕にかけ直して」(=これだけで大半は防げます)
  2. 「固定電話は留守電にしておいて。
    知ってる人なら折り返せば失礼にならないから」
  3. 「知らない番号と『+』から始まる番号には出なくていい。
    用がある人は伝言を残すから」
高齢の親と交わす3つの約束。お金の話の電話が来たら一度切って子どもにかけ直す、固定電話は常時留守電にしておく、知らない番号と+から始まる番号には出ない。

うちの場合:改まった約束の場は作っていません。父を亡くしてから母とはお金の話を普段からしていて、その中で「知らない番号は取らない」「何かあったら連絡」を繰り返しているだけです。
実際に母から「変な電話が来た」と聞いたことがあります。そのときは「無視でいい」で終わりました。この一言がすぐ出る関係のほうが、台本より効きます😌


帰省したら、電話まわりを10分だけ整える

  • □ 固定電話を常時留守電に設定する(=2分)
  • □ 海外と通話しない家なら、国際電話の休止を申し込む(=10分)
  • □ 冷蔵庫に「お金の電話は、一度切る。
    ◯◯に電話する
    」の紙を貼る(=1分)
  • □ 親のスマホに、あなたの番号・#9110・188を登録する(=2分)
むちお

うち、正月しか帰らないんだけど…それまで放置で大丈夫かな。

ちえこ

約束①は今夜の電話1本でできるよ。道具の設定だけ帰省に回せばいいの。順番は「約束が先」ね。


💡 さとる体験|僕にも、その電話は来た

ここまで「親を守る」話をしてきましたが、正直に書きます。僕自身が、あと一歩のところまで行きました。


口座を作った直後に、かかってきた

ネット銀行の口座を開いて、セットでクレジットカードも作った直後のことです。電話が鳴って、こう言われました。

「あなたのクレジットカードが不正に利用されています」

心臓が跳ねました。
作ったばかりだったからです。
「手続きのどこかで情報が漏れたのか」と、一瞬で自分の中で話がつながってしまいました。

相手は続けます。
「利用されたのは北海道です。
返金の手続きは、現地の警察署で行う必要があります」。
そして——「代行するサービスがあります」。


聞き続けたら、向こうから切れた

1年ほど前の話です。結果から言うと、被害はゼロでした。
理由は単純で、根掘り葉掘り質問し続けたからです。

どこの警察署か、代行にいくらかかるのか、そちらの部署名は。
答えを重ねて求めているうちに、相手のほうから電話を切って、そのまま音信不通になりました。

切れたあと、警察には通報しておきました。被害がなくても、番号と手口を伝えるだけで、次の誰かの入口を1つふさげます。

あとから調べて、ぞっとしました。
かかってきたのは「+」から始まる国際電話だったこと😳

北海道という遠い場所を指定したのは、たぶん僕に確かめに行かせないため。
そして狙いは、おそらく「代行サービスの手数料」だったこと。


なぜ、あと一歩まで行ってしまったのか

僕は詐欺の記事を書くくらいには、手口を知っているつもりでした。
それでも一瞬信じかけた。
理由を整理すると、詐欺には5つの仕掛けがあります。

  1. 不意打ち=考える準備がないところに、突然かかってくる
  2. 権威=警察・役所・銀行・カード会社を名乗る(疑うほうが失礼な気がしてくる)
  3. 時間の圧力=「今日が期限」「今すぐ手続きを」で考える時間を奪う
  4. 孤立=「誰にも言わないでください」で相談させない
  5. タイミングの偶然=心当たりがある時に限って来る

僕に効いたのは、5番目です。
口座とカードを作った直後だった。

詐欺師が僕の事情を知っていたわけではないと思います。
数を撃っているうちに、たまたま当たっただけでしょう。

でも、当たった側からすると「自分の話だ」としか思えないんです😔

だから「うちの親はしっかりしているから大丈夫」も、「自分は引っかからない」も、あてになりません。
判断力の問題ではなく、タイミングが合うかどうかの問題だからです。


効いたのは、質問することだった

そして、この体験でいちばんの収穫がこれです。質問を重ねると、詐欺師のほうから逃げる😤

本物なら、部署名も担当者名も折り返し先も、答えられて当然です。
答えられない相手は、答えを持っていない。

だから切る。
この記事の冒頭に書いた「一度切って、自分で調べた番号にかけ直す」が最強なのは、この延長にあります。

保険で10年、知らないままお金を払い続けた僕が言えるのは、ひとつです。
「知らない」は、責められない。

当時の僕は保険を疑いすらしませんでした。
疑っていないから、調べもしない😅

親の世代にとっての「警察からの電話」も、まったく同じ構図です。

知識が入って、初めて疑えるようになります。
だから「気をつけてね」ではなく、脚本そのもの(=「誰にも言うな」は詐欺確定、役所はATMで返さない)を渡す。

この記事を家族のLINEに送るだけでも、その第一歩になります😊


🤝 もう一つの入口——「知っている人」から来る話

ここまでの話は、ぜんぶ「知らない相手」からの電話でした。でも実際にお金を失う入口は、もう一つあります。兄・先輩・友人など、信じている人から持ちかけられる話です。


「信じているから大丈夫」ではなく、信じているからこそ騙される

考えてみてください。今日会ったばかりの怪しい人に、お金を渡す人はいません。
お金を渡すのは、信じている相手にだけです。

だから騙す側は、ボロボロの格好では来ません。きちんとした身なりで、親切に、時間をかけて信頼を作ってから、話を持ってきます。

国民生活センターに寄せられた相談に、こんな例があります。
職場の同僚から「AIが判断して暗号資産(=ネット上のお金)に投資するシステムでもうかっている」と誘われ、消費者金融で60万円を借りて、そのまま同僚に手渡した。「人を紹介すれば紹介料が入る」とも聞いていた、という相談です😔

ここで大事なのは、誘った同僚も、騙すつもりではなかったかもしれないことです。
自分も信じていて、紹介すれば紹介料が入る仕組みだから、善意で勧める。だから見抜きにくい。

外貨建ての保険、海外の投資、ワンルームマンション投資。名前は違っても、「信じている人が、善意で持ってくる」という形は同じです。

出典:国民生活センター「SNSやマッチングアプリ、友人・知人からの誘いをきっかけとした暗号資産のトラブル」


見る場所はひとつ。「この商品で、相手はどう儲けるのか」

「この人は信じられるか」で判断しようとすると、必ず負けます。
信じているから、話が来ているからです。

見る場所を変えてください。
「この商品で、誰が、どうやって儲けるのか」。これだけです。

  • 紹介した人に紹介料が入る仕組みなら、その人の「いい話だよ」は、営業トークと同じ重さで聞く
  • 相手が説明できない・はぐらかすなら、その時点でやめる
  • 利回り(=預けたお金が1年で何%増えるか)が良すぎる話ほど、儲けの出どころを聞く

これは詐欺だけの話ではありません。保険の無料相談も、銀行の窓口も、相談員は保険会社や商品を作る会社から入る手数料で食べています。
それを知った上で使うなら道具になります。知らずに「親切だから」で決めると、選ばされます😌


「話だけ聞く」がいちばん危ない

「断るのは悪いから、話だけ聞いておこう」。これが、いちばん危ない入り方です。

相手は、聞くだけのつもりの人を契約まで連れていくのが仕事のプロです。話を聞いた時点で、相手の土俵に上がっています。

そして断るときは、理由を言わない。
「今はお金がなくて」と言えば「月1万円からできます」が返ってきます。「妻に相談しないと」と言えば「奥さんにもご説明しますよ」が返ってきます。理由は、ぜんぶ潰されます。

言うのは一言だけ。「うちは要りません」。理由は要りません😤

✅ 身内からの儲け話に、3つの問い

  1. 利回りが良すぎないか(=銀行預金の何倍か、で考える)
  2. 出口(=いつ、どうやって現金に戻せるか)を相手が説明できるか
  3. その話を持ってきたのが家族や友人なら、それ自体を「いったん止まる合図」にする

3つとも、親にも自分にも同じように効きます。この記事で親と交わす約束①「一度切って、かけ直す」は、電話だけでなく身内から来た話にもそのまま使えます。「一晩置いて、家族に相談してから返事する」に言い換えるだけです。

むちお

兄貴から「いい話がある」って言われたら、断りにくいよなあ……

ちえこ

断るのは「兄」じゃなくて「商品」だよ。「兄ちゃんのことは信じてる。でもこの商品は要らない」って分ければ、関係は壊れないよ😊


❌ よくある誤解4つ

最後に、この分野で本当によく聞く誤解を4つ、まとめて解いておきます。


誤解①「うちの親はしっかりしているから大丈夫」

騙されるかどうかは、判断力の問題ではなく脚本を知っているかどうかの問題です。
その証拠に、2025年のニセ警察詐欺で件数がいちばん多かったのは、現役バリバリの30代。

「しっかりしている人」が、毎日922万円ずつ失っています💧


誤解②「詐欺の電話なんて、聞けばすぐ分かる」

向こうは下見(=予兆電話・年33万件)で家族構成や資産を調べてから、かけてきます。
名前も家族の事情も知っている相手の電話は、「すぐ分かる」ものではありません。


誤解③「騙された親を叱れば、次は防げる」

逆です。
叱られた親は、次から隠します。

詐欺グループは一度成功した相手の名簿(=カモリスト)を使い回すので、2回目・3回目が来ます。
そのとき親が相談できる関係かどうかが、防波堤になります。


誤解④「対策の機械は、お金がかかる」

留守電0円・国際電話ストップ0円・70歳以上のナンバーディスプレイ0円。
お金の問題ではなく、「今日やるかどうか」だけの問題です😌


📝 まとめ|親を守る電話は、今夜かけられる

結論。
親を詐欺から守るのは、電話の入口をふさぐ道具と、「一度切って、かけ直す」の約束——この2つです。
ほぼ無料で、今週中に完成します。


📊 早見表

場面これだけやればOK
警察・役所を名乗る電話一度切る→代表番号を調べてかけ直す(折り返し禁止)
「ATMで還付します」100%詐欺。188か#9110へ
親がATMに向かっているためらわず110
渡してしまった銀行(凍結)→110/#9110→188→証拠保存。叱らない
玄関に業者が来た屋根に上げない・その場で契約しない(8日間はクーリング・オフ可)
身内・知人からの儲け話「相手はどう儲けるか」を聞く。答えがなければ「うちは要りません」(理由は言わない)
予防常時留守電+国際電話ストップ+警察庁推奨アプリ+約束①

🚀 今日からの3ステップ

  • 今夜:親に電話1本。
    「警察名乗る詐欺が流行ってるんだって」の世間話+約束①(=5分)
  • 今週:実家の固定電話を常時留守電に。
    海外と話さない家なら国際電話の休止も申込(=10分)
  • 次の帰省:冷蔵庫の貼り紙+親のスマホに#9110と188を登録+警察庁推奨アプリを入れる(=15分)

✅ 親の冷蔵庫・家族LINEに送るテンプレ(=コピペOK)

  • 【わが家の電話ルール】お金の話の電話は、本物でも偽物でも「一度切る」→◯◯(家族の名前)に電話。
    警察・役所が電話でお金やカードを求めることは100%ありません。
    「誰にも言うな」は詐欺確定。
    困ったら #9110(警察相談)・188(消費者ホットライン)へ!

この記事は、守りシリーズの2本目です。
シリーズ全体の見取り図(=5大リスクと最初の一手)は、入口の記事「守りの完全ガイド」へ。

1本目の「SNS型投資詐欺の手口と断り方」では、僕ら自身が狙われる詐欺の脚本を解剖しています。
次回は「スマホとお金のセキュリティ」——設定手順を1つずつお届けします。

※本記事は個人の経験・調査に基づく一般的情報です。統計・制度・無償キャンペーンの内容は執筆時点のものです。

📌 本記事は、制度改正・統計の更新があったときに随時更新します(=最終更新:2026年10月7日)。


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